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映画メモ

映画やゲームや小説の感想など 2016年6月~

Warcraft (2016) ウォークラフト

映画版ストーリーあらすじ(適当・ネタバレ含)

  1. オークたちの故郷である惑星・ドレノール(Draenor)が忌まわしい魔法フェル( fel)の汚染により荒廃したため、グルダン(Gul'dan)率いるオーク軍は、新天地を求めて、空間移動を可能とするポータルを開き、惑星アゼロス(Azeroth)への侵略を開始する。
    本作の主人公の一人である、フロストウルフ族オークの族長であるデュロタン(Durotan)も、親友オーグリム(Orgrim)と共に一族を率いこの遠征に従軍していた。
  2. 一方、惑星アゼロスでは、今作のもう一人の主人公である、ストームウィンド王国の騎士であるローサー(Lothar)が、何者かに襲撃を受けた集落の調査を行っていた。
    魔術師集団キリン・トールから破門された若い見習い魔術師のカダガー(Khadgar)もまた独自に調査を行っていたが、集落に残された死体に、フェルの魔法の痕跡を見つけた彼は、ストームウィンド王国の王であるレイン(Llane)に接見し、フェルに対する調査をするため、アゼロスのガーディアンであるメディーヴ(Medivh)に接触することを進言する。
    王の命令で、メディーヴのもとにローサーとカダガーが派遣される。
  3. フェルの痕跡を追っていた調査隊一行がオークによって襲撃を受ける。メディーヴの魔法によってオークたちは撃退されたが、この時、カダガーは、オークと人間の混血児である女性奴隷・ガロナ(Garona)を助け解放する。ガロナはストームウィンド王国に忠誠を誓い、グルダン率いるオークたちがさらにもう一度ポータルを開いて第二波の大軍をアゼロスに送り込む計画を進めていることを暴露する。
  4. 一方、フロストウルフ族オークのデュロタンは、フェルの力に依存しているグルダンをこのまま野放しにしておくと、惑星アゼロスもまた汚染・荒廃の道をたどると考え、グルダンの暴走を止めるべく人間たちと協力することに決める。親友オーグリムが止めるのも聞かず、ストームウィンド王のレインに使者を送りブラックロック山のふもとで密かに会合を行うことを提案する。
  5. その頃、書物を読み研究を続けていたカダガーは、惑星アゼロス侵略のためにオークはポータルを開いたが、ポータルを開くためには惑星アゼロス側にも協力者の存在が不可欠であるという事実を知る。このことをメディーヴに知らせようとするが、メディーヴはカダガーの読んでいる書物をすべて焼き、それ以上の研究をやめるよう警告する。カダガーはメディーヴの振舞いを訝しく思う。
  6. グルダン打倒のためフロストウルフ族オークと人間の会合が開かれるが、その場にグルダンの手下であるブラックハンド(Blackhand)率いるオーク軍が待ち伏せており、襲撃が始まる。メディーヴが唱えた魔法のバリアによりオーク軍の襲撃は食い止められるが、このバリアのためにローサーの一人息子であるカラン(Callan)が命を落とす。ローサーは様子のおかしい旧友メディーヴに対して不信感を募らせる。
  7. 魔法の詠唱により憔悴しきったメディーヴを、カダガーとガロナがカラザーンまで運ぶが、この時、メディーヴの目にフェルの痕跡を見て取ったカダガーは、メディーヴがフェルによって汚染されている可能性を危惧する。
  8. ダガーはキリン・トールの本拠地である魔法都市ダラランへ向かい、魔術師アロダイ(Alodi)にメディーヴの身に起きた異変のことを知らせる。アロダイによると、裏切り者であるメディーヴはすでにフェルの力によって支配され精神を乗っ取られているという。
  9. オークたちの間では、グルダンを裏切ったデュロタン一味に対する粛清が始まる。デュロタンの親友オーグリムは、ひそかにデュロタンの妻ドラカ(Draka)とその息子ゴーエル(Go'el)を逃がす。ドラカはその後、追手のオークから息子を守るため、息子を籠にのせて川に流し、自らは絶命する。
  10. デュロタンは伝統にもとづいて決闘をグルダンに申し込む。両者は戦うが、グルダンは不正を行いフェルの力を使ってデュロタンを殺す。グルダンの不正を糾弾するオークたちはその場でグルダンによって殺される。なりふり構わぬグルダンは手下のブラックハンドをフェルの力によって強化する。
  11. フェルの力によって完全に汚染されたメディーヴは、オークの大軍をアゼロスに招き入れるためにグルダンと連携して再びポータルを開く。
  12. グルダン率いるオークたちの侵攻を食い止めるべく、王レイン率いるストームウィンド軍が迎え撃つ。
  13. ローサーとカダガーによってメディーヴは倒されるが、メディーヴは瀕死の状態でようやく正気を取り戻し、ドレノールへのポータルを閉じ、代わりにストームウィンドへのポータルを開いて、オーク軍によって捕虜にされた人々の避難を助ける。
  14. オークの大軍によって取り囲まれたレイン王は、このままむざむざグルダンに殺されるよりは、ガロナによって殺されることで、ガロナを生き延びさせ、彼女に未来を託すことに決める。レインは自らを殺害するようガロナに依頼する。王の真意を悟ったガロナは王を殺害し、名誉をもってオーク軍に受け入れられる。
  15. 単身グリフォンに乗り王の救出に駆けつけたローサーは、王がガロナによって殺されたことを知る。王の亡骸を持って帰ろうとするが、ブラックハンドに阻止され、決闘を持ちかけられる。ブラックハンドを一撃のもとに倒したローサーは、王の亡骸をストームウィンドへ持ち帰る。
  16. その後、ストームウィンド王国内でレイン王の葬儀が行われ、ドワーフやナイトエルフなど他種族の代表者が列席する中、オークに対する連合軍(アライアンス)の結成が宣言される。
  17. デュロタンの息子ゴーエルをのせた籠が下流の岸に流れ着き、一人の人間によって拾われる。
    以上

感想

  • 映画版は、原作ゲーム版とはかなり設定を異にしていて、違いの細部をあげたらキリがないけど(例えば、映画版でデュロタンの親友として登場するオーグリムは、原作ゲーム版ではフロストウルフ族ではなくブラックロック族のオークなので、デュロタンとの関係もかなり異なる。また、ガロナは人間とオークの混血ではなく、オークとドレイネイの混血。ローサーのイケメン息子カランは映画版オリジナルキャラで、ゲーム版には存在しない。デュロタンvsグルダンの決闘も映画オリジナル、などなどいろいろ)、もっとも大きく異なる点は、次の二点。
  • まず一点目は、映画ではすべての悪の根源がフェルという魔法の力に求められているけど、ゲーム版ではフェルの魔法の背後にはリージョンと呼ばれる悪魔的な軍団の存在があって、メディーヴが正気を失ってダーク・ポータルを開きオークたちをアゼロスに招き入れたのは、彼がリージョンの親玉でありゲーム版のラスボスとも呼べるサーゲラス(Sargeras)に精神を乗っ取られていたから。(メディーヴの母オーグウィン(Aegwynn)がすでにサーゲラスの憑依を受けていたので、彼女の子宮にいた時にメディーヴはサーゲラスの支配を受けていた。細かい設定については、つい最近発売されたばかりの、ブリザード公式の設定資料集であるWorld of Warcraft: Chronicle volume 1を読むと分かりやすいのでおすすめです。WoW世界の歴史が事細かに編年体で書かれているのでかなり面白い。ボリューム2,3と続々刊行予定とのこと)映画版では、このリージョンの存在がまったく語られず、メディーヴの精神を乗っ取り狂気に走らせる力が、フェルという魔法に内在しているように描かれている。また、映画版ではオークたちが故郷を追われたのもフェルのためという設定になっているが、ゲーム版ではそんな設定は無い。
  • 第二点目は、物語ラストのガロナによるレイン王の殺害。原作版では、ガロナはグルダンによって洗脳されており、なかば操られて正気を失った状態でレイン王を殺害する。ガロナは自分がレイン王を殺害することを予言のヴィジョンを通じて事前に知っており、自分の運命に抗おうとするが、それでもやはり結局王を殺してしまうという悲劇のヒロインなのが原作版世界のガロナ。
    これに対して映画版では、王に依頼されて、ガロナ自ら主体的に決断して王を殺している。この違いはかなり大きい。
  • この第二点目について、オークの大軍に囲まれて孤立無援なレイン王を殺したガロナがオークたちによって英雄として受け入れられるという展開はちょっと無理があった。
    ガロナは人間軍の一員としてオークたちの間でも認知されていたわけで、オーク軍が圧倒的に優勢な状況下でガロナがレイン王を殺したところで単なる卑怯な裏切り者でしかない。しかも背後から首を掻き切っているし、およそ名誉に値しない。あの戦況下ではガロナでなくともレイン王を殺すのは容易だった。
  • その後のローサーvsブラックハンドの決闘も拍子抜けだった。グルダンによってフェルの力でエンパワーされていたブラックハンドは常識的に考えてもっと強いはず。ローサーはさらに強いのだと言われてしまえばそれまでだが、一撃で決着がつくのはさすがにどうかと思った。
    しかもその後、立ち去ろうとするローサーに対して、グルダンが「奴を殺せ」とオークたちに命令するが誰も従わず、ローサーを見逃すが、あそこでグルダンが急におとなしくなっていたのも不自然だった。手下のオークたちも、それまではグルダンの命令を無批判に受け入れていたのに、一転して敵の名誉を重んじるようになるのは、グルダンが伝統的な名誉の決闘を踏みにじりデュロタンを不正に殺した場面との整合性を欠く。
  • などなど一部の納得いかない点はあったけど、原作ゲームファンとしては、映画そのものは大いに楽しめた。
    ゲームではおなじみのエルウィン・フォレストを上空から見下ろす場面ひとつとっても、なんとも言えない感動があった。カラザーン(Karazhan)で執事のMoroes(思い出のraidボス)が登場しただけで大盛り上がりだったし、WoWをプレイしている人にとっては感慨深いシーンがいたるところに散りばめられていた。
    逆に言えば、WoWの世界になじみがない人がこの映画を見て果たして楽しめるのかどうか、そこは想像が及ばないので分からない。
  • 監督のDuncan Jonesは、WoWをβの時代からやってた最古参プレーヤーとのこと。インタビューで彼が告白していた。